
家族や複数人での旅行では、1つの大きなプランを共有するのではなく、端末ごとに1枚ずつ独立したeSIMを購入するのが基本だ。購入確認メールは購入者本人のメールアドレスに届くので、1人がまとめて全員分を購入し、それぞれのQRコードを使う端末の持ち主に転送すればよい。各自のデータ利用量も個別に計算されるため、1つのアカウントにまとめてしまって後から分けるのに苦労することもない。自分名義の回線を持たない子どものスマートフォンやタブレットは、小容量のデータ専用eSIMを直接購入するか、親のテザリングに乗せるかのどちらかで対応できる。以下では、人数や端末の組み合わせに応じた計画の立て方と設定手順を説明する。
#1人が他の家族分のeSIMをまとめて購入できるか
できる。これは複数人での旅行では一般的なやり方で、eSIMのQRコードは特定の人物と紐づいているわけではなく、最初にスキャンした端末とだけ結びつく仕組みだからだ。通常の購入手続きでは、プランが購入者自身のスマートフォンに固定されるわけではないので、自分のアカウントとメールアドレスで支払いを済ませ、対応する確認メールやQRコードをそれを使う人に転送すればよい。
唯一守らなければならないルールがある。QRコードは1回しかスキャンできず、最初にスキャンした端末に永久に固定される。家族3人分を用意するなら、それぞれの端末に対応した3件の独立した購入が必要で、各自のQRコードは本人の端末に直接送る必要がある。誰かがすでにインストールした後に別の人へ回すような使い方はできない。
co:simの決済は、購入者自身のアカウントのメールアドレスに確認メールとQRコードを届ける仕組みで、支払い後数秒で到着する。現時点では「友人に送る」といった専用の機能はないため、実際の流れとしては、まず自分のアカウントで購入し、そのプランのQRコード(AirDrop、メッセージアプリ、メール転送のいずれでもよい)を、実際に使う本人に送って出発前に自分でスキャン・インストールしてもらう形になる。
#グループ旅行では、1つの大きなプランを共有すべきか、それとも各自1枚ずつ買うべきか
実際には2つのやり方があり、それぞれにトレードオフがある。1つ目は1人1枚のeSIM方式で、各端末がそれぞれ独立してインストール・管理を行うため、誰かの動画視聴が他の人のデータ量を圧迫することはなく、各端末が自分のペースでチャージできる。2つ目は1台の端末(たいてい大人のスマートフォン)に大容量プランを入れ、他の全員がそのテザリングに接続する方式だ。
テザリング方式は購入とチャージがそれぞれ1回で済むため、短期の旅行であれば実際にシンプルで済む。一方でトレードオフもはっきりしている。テザリング元の端末のバッテリー消費は速くなり、他のメンバーはそのWi-Fi電波が届く範囲にとどまる必要があり、動画視聴や大容量ダウンロードなど誰か1人の使い方が激しいと、全員で共有するデータ量が目に見えて圧迫される。
複数国をまたぐグループ旅行の場合、地域対応プランが1台の端末上で複数の単一国プランの代わりになることもある。たとえばタイ、ベトナム、シンガポールを回る家族旅行なら、co:simの東南アジア向けプラン1枚で3か国をカバーできるため、端末ごとに国別プランを3枚ずつ購入する必要がなくなる。
#自分の回線を持たない子どものスマホやタブレットはどうやって接続するか
自分名義のモバイル通信プランを持たない子どものスマートフォンやタブレットには、実用的な方法が2つある。1つ目は、自宅のWi-Fiに接続するのとまったく同じ感覚で親のパーソナルホットスポットに接続する方法で、モバイル契約もeSIMも不要、その端末のために購入するものも一切ない。単に、テザリング元として使っている大人の端末に乗っているだけだ。Appleの「ファミリー共有」機能もまさにこの発想で設計されており、子ども用の新しい端末のセットアップは完全にWi-Fi経由で行え、モバイル通信プランは一切必要ない。スクリーンタイムなどの保護者による管理機能も、その端末が自分の回線を持っているかどうかに関わらず同じように使える。

2つ目は、その端末自体がeSIMに対応していて、年齢が上の子どもやティーンエイジャーが旅行中ずっと親の端末に頼るのではなく独立して接続したい場合だ。その端末専用に小容量のco:simデータ専用eSIMを購入すれば、大人向けのプランと同じ要領で対応できる。地図確認やメッセージのやり取り程度の軽い用途に合わせて容量を選べば、リモートワークや動画視聴をする大人向けの大容量プランよりずっと安く済み、しかもその端末は独立して接続を保てる。
#グループ旅行で、1台のスマホは実際に何枚のeSIMを保存・同時利用できるのか
複雑な「予備プラン」を検討する前に、押さえておきたい基本事実がある。eSIMはGSMAが標準化したデジタル方式のSIMプロファイルであり、現在のスマートフォンは同時に使える枚数よりもはるかに多くのプロファイルを保存できる。最近のiPhoneは8枚以上のeSIMプロファイルを保存できるが、同時にアクティブにできるのは最大2枚までだ。これは1人の旅行者が自宅の回線に加えて目的地用のプランを1〜2枚併用するには十分だが、逆に言えば「1台のスマホに家族5人分のプランをまとめて入れる」というやり方は成り立たない。各自のプランはそれぞれ自分の端末にインストールするものであり、1台に積み重ねるものではない。
#家族旅行のためのeSIM設定手順
- 人数ではなく端末数を数える — スマートフォンとタブレットの両方が独立して通信する必要があるなら、それぞれにeSIMが必要。テザリングで済ませる端末には不要。
- 独立回線が必要な端末ごとに1枚ずつプランを購入する — 容量はその端末の実際の使い方に合わせる(ティーンエイジャーの閲覧・メッセージ用途は、リモートワークをする大人よりずっと少なくて済む)。
- 購入後すぐにその端末へインストールする — 端末ごとに1回のQRスキャンで、できれば出発前に自宅のWi-Fiにつないだ状態で。iPhoneなら
設定 → モバイル通信 → eSIMを追加、Androidなら対応するSIM設定メニューから。 - それぞれの回線に名前を付ける — 「ママ用」「子どものスマホ」のようにラベル付けしておけば、複数の大人が端末を管理している場合でも、間違った端末に誤ったコードをインストールする事態を防げる。
- 大人の端末1台でパーソナルホットスポットを有効にしておく — 自分専用のeSIMを持たない端末や、データが足りなくなった端末のための予備として使う。
- すべての購入確認メールを保管しておく — 出発前に何か問題が起きた場合、その端末のeSIMを再インストールする唯一の手がかりになる。
#FAQ
#家族それぞれ分のeSIMをまとめて一度に購入できるか
複数の旅行者分のプランを1回の購入にまとめる「家族用カート」のような仕組みは存在せず、eSIMは1枚ごとに独立した注文として購入する形になる。実際には、独立した回線が必要な端末や旅行者の数だけチェックアウトを繰り返すだけで済み、一気に連続して購入しても、数日かけて少しずつ買い足しても、それぞれの購入ごとに独自のQRコード付き確認メールが数秒で届く。co:simのプランページには目的地ごとのデータ量、価格、対応ネットワークが記載されているので、3台のスマートフォン用に3か国分のプランを購入するとしても、まとめて1回で決済するのではなく、シンプルな個別購入を3回行う形になる。ただし、その3回を同じ人がまとめて行うことに何の制限もない。
#全員が同じeSIMプランや同じ事業者を使う必要はあるか
その必要はなく、メンバー構成が多様なグループではむしろ分けたほうがうまくいくことが多い。旅行者ごとに、まったく異なるeSIMプランを、場合によっては異なる事業者から、互いに調整することなくそれぞれの端末で利用できる。1つのeSIMのインストールと利用は、他の人のスマートフォンに何が入っているかとは完全に独立している。ビデオ通話やリモートワークのために大きなデータ容量が必要な人もいれば、地図確認とメッセージのやり取り程度で済む人もいる。全員に一律で「念のため」最大容量のプランを買わせるより、各自の実際の使い方に合わせてプランを選んだほうが、たいてい全体としても割安になる。
#タブレットや子ども向け端末は、電話番号がなくてもeSIMを使えるか
使える。これはまさにデータ専用eSIMのための用途だ。co:simのようなデータ専用プランはモバイル通信を含むが、電話番号は付かず、通話やSMSもプラン自体には含まれない。もともとタブレットは携帯電話回線で通話をしないので、これは何の問題にもならない。eSIM対応のタブレットであれば、テザリングや親の端末をそばに置いておく必要もなく、単独でデータ専用プランをインストールして独立して接続できる。一方、eSIMに対応していないタブレットや、保護者の管理上あえてテザリングのみにとどめておきたい子どものスマートフォンであれば、大人が共有するパーソナルホットスポットにそのまま接続すればよく、その端末のために何かを購入する必要はない。
#旅行の途中で家族の誰かのeSIMのデータがなくなったらどうなるか
各自のプランとデータ容量は互いに独立しているため、影響が出るのはそのデバイス1台だけだ。リロード可能なco:simのプランなら、最初に購入したアカウントから直接、最初の購入時と同じ固定価格でチャージでき、eSIMプロファイルを一から再インストールする必要はない。すぐにチャージするのが難しい場合は、そのデバイスを一時的に大人のパーソナルホットスポットに切り替えて、チャージするか新しいプランを購入するまでしのぐこともできる。その間、他の家族の端末はそれぞれ自分のプランのまま影響を受けずに使い続けられる。
独立した通信が必要な端末にはそれぞれeSIMを1枚ずつ入れ、残りはテザリングで補う。そうすれば、各自の接続状況もチャージのタイミングも、それぞれが自分のペースで管理できる。


