
フィリピン旅行に最適なeSIM(埋め込み型SIM)は、自分のルートがどの通信会社の電波エリアに入るかで決まる。Globe Telecom、PLDTグループのSmart Communications、そして新興のDITO Telecommunityの3社は、7,000以上の島々からなるこの国で、地域によってカバー範囲がかなり違う。co:simのフィリピンプランのようなデータ専用eSIM(電話番号ではなくモバイルデータだけを提供するプロファイル)は、全国平均が一番高い通信会社ではなく、自分の訪れる場所で一番強いネットワークを選ぶ必要がある。マニラ、セブ、ボホール、シアルガオ、パラワンを回る旅なら、GlobeかSmartが無難な選択になることが多い。定番の観光ルートはどちらも安定してカバーしている一方、DITOは主要都市を離れると急に電波が弱くなるためだ。この記事ではプランを比較し、各社の実際のカバー状況を整理し、出発前にeSIMを設定する手順まで解説する。

#フィリピン用eSIMを選ぶときに見るべきポイントは?
通信会社の選択は、他の多くの国よりフィリピンでは重要になる。フィリピンには通常の2社ではなく3社の全国通信会社があり、それぞれ強い地域が異なる。買う前に、そのプランがどの回線を使っているかを価格より先に確認したい。co:simの各プランページには、利用する通信会社、インストール期限、課金開始のルールが明記されているので、購入前に自分の旅程に合うか確認できる。
データ量は旅程の長さに合わせる。島から島へ移動する旅程では、動画を見なくても地図アプリ、フェリーの予約アプリ、メッセージアプリの間を移動するだけでデータを消費し続ける。10日間の複数島を回る旅程は、同じ日数の一都市滞在よりも多めの余裕が必要になることが多い。
有効期間とチャージ(トップアップ)対応。チャージ可能なプランなら、旅程が延びたときに新しいeSIMを買い直してプロファイルを失うことなく延長できる。旅程が延びる可能性があるなら、トップアップ対応かどうかを確認しておきたい。
登録要件。これはフィリピンならではの特徴で、到着後に本人確認の登録が必要なSIM製品もあれば、不要なものもある。詳細は後述するが、これは到着後どれだけ早く接続できるかに直結する。
GBあたりの単価も、表示価格だけでなく比較したい。通信会社によって有効期間やデータ上限がかなり異なるため、同じデータ量同士で比べる必要がある。
#フィリピンのeSIMプランをどう比較すればいい?
| 選択肢 | データ量 | 有効期間 | 通信会社 | 登録要件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| co:simフィリピンeSIM | 固定GBまたは1日あたりの容量 | プランごとに設定、一部トップアップ可 | プランごとに明記(GlobeまたはSmart) | 不要、メール送付のみ | 出発前にインストール、到着後の手続き不要 |
| Globe公式Prepaid Traveler eSIM | 固定パッケージ | 到着後の有効化から起算 | Globe | 必要、到着後にGlobeOneでOTP登録 | 現地のGlobe番号も付く |
| Smart公式eSIM | 固定パッケージ | 到着後の有効化から起算 | Smart | 必要、SIM登録法に基づきOTP登録 | 物理Smart SIMと同じ登録手順 |
| 空港の物理SIM(Globe/Smart/DITOカウンター) | チャージ制 | 法律で定める観光客向け30日有効 | 3社とも扱いあり | 対面手続き、パスポート・現地住所・帰国便情報が必要 | 長時間フライト後に列に並ぶ必要があり最も時間がかかる |
公式通信会社のeSIMは、現地の電話番号も欲しい場合には検討する価値がある。ただし到着後に登録手続きが1つ増える。データ専用の旅行用eSIMはこの手順を完全に省略できる。現地通信会社が発行する契約回線ではないため、飛行機が着陸した瞬間にOTPやパスポート確認なしで接続できる。
#Globe、Smart、DITOのフィリピン国内カバー状況は実際どうなのか?
Mordor Intelligenceによるフィリピン通信市場の分析によると、GlobeとPLDTグループのSmartを合わせると、国内のアクティブSIMの約85%を占め、残りの大半をDITOが占めている。3社の中で最も成長が速いのはDITOで、同じくInquirer.netによるDITOのネットワーク拡大に関する報道で引用されたFirst Metro SecuritiesとDBSの調査によれば、DITOのモバイル加入者シェアは2023年の7%から2026年には16%まで伸びると見込まれ、その分はGlobeとPLDTから移ると予測されている。
カバー範囲そのものについては、Smartの4G/5G統合ネットワークが全国人口の約97%をカバーし、Globeは首都圏で5Gカバー率98.51%、ビサヤ地方とミンダナオ地方の主要都市で94.91%をカバーしていると、同じInquirer.netの報道が伝えている。DITOの直近の政府監査による数値は全国人口カバー率86.3%で、2021年に開局した通信会社としては十分な進展だが、主要都市を離れると依然として既存2社に後れを取っている。単純なカバー範囲ではなく安定性の面では、Ooklaが2025年下半期のフィリピンで最も安定したモバイルネットワークにGlobeを選出しており、モバイル安定性スコアは87.51%だったとTelecompaperによるOoklaの調査結果の報道が伝えている。
島めぐりの旅程に限って言えば、マニラ、セブ市、そしてボホール(タグビララン/パングラオ)、シアルガオ(ヘネラルルナの町)、パラワン(プエルトプリンセサ、エルニド、コロン)といった主要な観光の町は、いずれも成熟した商業拠点であるため、GlobeとSmartの安定した電波範囲にほぼ入っている。DITOはこれらの町でもカバーを広げている最中だが、まだ他の2社ほど安定していない。そのためco:simのフィリピンeSIMはDITOではなくGlobeかSmartの回線を利用している。実際にどちらの回線かはSKUによって変わるため、購入前にプランページで確認してほしい。すべての通信会社に共通する正直な注意点として(これはeSIM特有の欠点ではない)、島と島の間を船で移動しているときや、石灰岩に囲まれたラグーンの中では、電波はどうしても途切れる。船で出かける前には、オフラインの地図をダウンロードしておこう。
#出発前にどう設定すればいい?
- 出発前に購入する。co:simは決済完了から数秒でQRコードをメールで届けるので、長時間フライトの後に空港のWi-Fiを探して慌てるのではなく、自宅のWi-Fiでインストールできる。
- Wi-Fiに接続したままインストールする。iPhone:
設定 → モバイル通信 → eSIMを追加 → QRコードを使用。Android:設定 → ネットワークとインターネット → SIM → eSIMを追加。ホーム回線と混同しないよう、新しい回線には「フィリピン」とラベルを付けておく。 - インストール後は有効化せずそのままにしておき、飛行機が着陸してから新しいeSIMのモバイルデータをオンにする。
- eSIMをデータ回線に設定し、スマートフォンがデュアルSIMデュアルスタンバイに対応していれば、ホーム回線は通話・SMS・メッセージアプリ用にそのまま残しておく。
- 登録手続きは不要。co:simのeSIMはフィリピン国内で発行される契約回線ではないため、OTPのSMSもパスポート確認も必要ない。上で説明したGlobeやSmartの公式旅行用eSIMとは違い、データをオンにした瞬間から接続できる。
#よくある質問
#フィリピンのeSIMはSIM登録法に基づく登録が必要ですか?
購入するeSIMの種類によって異なる。フィリピンのSIM登録法(共和国法11934号)は、GlobeやSmartが直接販売する公式eSIMを含め、国内で発行されるSIMすべてに接続前の本人確認を義務付けている。観光客の場合、パスポート、ホテル予約などの現地住所、帰国便または乗継便のチケットの提示が必要で、登録されたSIMは施行規則により、ビザ延長の証明を後日提示しない限り有効期間は30日間となる。co:simのフィリピンプランのようなデータ専用の旅行用eSIMは仕組みが異なり、フィリピン国内で発行される契約回線ではないため、到着後にOTPのSMSもパスポート確認も必要ない。出発前に自宅のWi-FiでQRコードをインストールしておき、飛行機が着陸したらモバイルデータをオンにするだけで、間に登録手続きが入ることはない。
#セブ、ボホール、シアルガオ、パラワンを島めぐりするなら、どの通信会社がいい?
GlobeとSmartはいずれも、これらの島の主要な観光の町をしっかりカバーしている。セブ市、ボホールのタグビラランとパングラオ、シアルガオのヘネラルルナの町、パラワンのプエルトプリンセサ、エルニド、コロンは、いずれも遠隔地ではなく成熟した商業拠点で、両社の4G・5Gの電波範囲に入っている。DITOはこれらの町でもカバーを拡大中だが、首都圏や主要都市を離れると、まだ安定性で見劣りする。島めぐりの旅程で本当に大きな要因になるのは、船での移動そのものだ。どの通信会社を使っていても、島と島の間や、人里離れたラグーンや入り江では電波は途切れる。船を使う日帰りツアーの前には、オフライン地図をダウンロードしておきたい。co:simの特定プランがどちらの回線を使うかは、購入前にプランページで確認できる。現時点でco:simのフィリピンプランはSKUに応じてGlobeかSmartのいずれかで、DITOは使っていない。
#フィリピン10日間の旅行に必要なデータ量の目安は?
地図アプリ、メッセージアプリ、写真のアップロード、軽いSNS閲覧が中心なら、1日あたり1〜2GBで多くの旅行者には十分なことが多い。動画を頻繁に見たり、ビデオ通話をよくしたり、コワーキングスペースやホテルのWi-Fiのバックアップ以外でリモートワークをするなら、1日3〜4GBを目安にしておくと安心だ。複数の島を回る旅程は、同じ日数の一都市滞在よりもやや多めのデータを使う傾向がある。慣れない船着き場の時刻表を調べたり、フライトや船便を確認したり、その場で交通手段を予約したりすることが増えるためで、データ消費の少ない決まった生活リズムにはならない。co:simのフィリピンプランは固定GBタイプと1日あたりの容量タイプの両方があるので、単純に総量を勘で決めて8日目に足りなくなるのではなく、実際の旅程の日数と使い方に合わせて選べる。
#フィリピンのeSIMをホームの回線と一緒に使えますか?
デュアルSIMデュアルスタンバイに対応した端末であれば可能で、iPhone XS世代以降の多くの機種や、ここ数年に発売された多くのAndroid端末が対応している。ホーム回線はそのまま通話やSMS、ホームの番号にひもづくサービス(銀行のSMS認証コードや、勤務先アカウントの二段階認証コードなど)に使い続けられ、データ専用eSIMがそのローカル通信会社の回線でフィリピン国内のモバイルデータを担当する形になる。物理的な現地SIMに差し替える場合との一番の実用的な違いはここにある。旅行中もホームの番号で通話や認証コードを受け取れる状態を維持でき、どちらの回線でデータ通信するかは、端末のモバイル通信設定からいつでも切り替えられる。カードを抜き差ししたり、クリップを探したりする必要はない。
#出発前にeSIMをインストールしなかった場合はどうなりますか?
到着後でも、空港・カフェ・ホテルなどでWi-Fiが使えればインストールは可能だが、出発前に自宅のネットワークで済ませておくほうが、荷物を運びながら入国審査の列に並ぶ慌ただしい到着直後に、慣れない公共Wi-Fiに頼らずに済む。co:simの各プランページにはインストール期限が明記されており、その期限を過ぎて未インストールのeSIMは自動的にキャンセルされ、その後は有効化できなくなる。QRコードをそのまましまい込んで忘れてしまわないよう、購入したらすぐにこの日付を確認しておくとよい。未インストールのeSIMは購入から30日以内であれば返金対象になるが、この期間はプラン自体のインストール期限によって短くなる場合があり、購入時点で即時課金されるプランはこの対象から除外される。旅程が急に延期になったときに困らないよう、購入前にプランページでこの詳細を確認しておきたい。
#フィリピンのeSIMとしてDITO Telecommunityは選ぶ価値がありますか?
DITOは2021年の開局以来急成長しており、直近の政府監査による数値では全国人口カバー率が86.3%に達し、GlobeやSmartよりも多くの5G周波数帯を保有していて、長期的な伸びしろは大きい。ただし現時点の旅行者にとっては、首都圏や主要都市を離れると実際のカバー状況はまだ既存2社に後れを取っており、これはマニラ一都市の滞在よりも、ボホール、シアルガオ、パラワンのような島めぐりの旅程でより大きく影響する。co:simの現在のフィリピンeSIMプランがDITOではなくGlobeかSmartを利用しているのはこのためで、ブランドの好みではなくカバー範囲を優先した判断だ。DITOの地方でのネットワーク整備が進むにつれて、今後数年でこの判断は見直す価値が出てくるだろう。
どの通信会社のプランを選ぶにしても、出発前にインストールしておけば、到着した瞬間から接続できる。フィリピンの先に他の国へ旅を続けるなら、co:simの東南アジア地域プランはタイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア、カンボジアをフィリピンとまとめて1つのプランでカバーしており、島めぐりのあと別の国へ飛ぶような旅程に向いている。
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